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2022年 7月 23日 「がんばらない・たのしい」夏休み ~習慣化の大きな誤解~
こんにちは!担任助手1年の久保光太郎です。
暑い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私は毎朝起きたらストームグラスと天気予報を見てその日の天気を必ず確認するのですが、最高気温35度!なんて数字を見るとちょっと怠い気分になってしまいます。
こんな暑い国に住み続けるなんて無理だし、将来はヨーロッパかどこかの涼しい所に移住しようなんていう夢を秘かに持っているのですが、最近はヨーロッパでも40度を超える日が屡々あるようですね。もう、地球を諦めて外に出るしかないのでしょうか。
さて、今日は「習慣化」について話をしたいと思います。
皆さん、「夏の目標」は立てましたか?特に「夏の間、継続したいこと」は決めていますか?
どんなレベルの目標でも構いません。この夏を通して継続したいこと、習慣化したいことは何かしらあるのではないでしょうか。
「毎朝早起きして勉強する!」「1日15時間勉強する!」「スマホを断つ!」
適当に例を3つ挙げてみました。どれも強い意志を感じらます。素晴らしいですね!!東進に通う皆さんなら、計画建てや目標設定なんて慣れたものですよね。
しかし、私の予想では、これらの習慣化目標はどれも失敗するでしょう。
正確に言えば、これらの目標が「ことば通り」であるならば、ほぼ確実に失敗するでしょう。
え、なんで??
となりますよね。
実際、生徒のみんなが立ててくれている「習慣化目標」はだいたいこんな感じです。典型的な目標設定ですが、これらの目標が「ことば通り」である限り、ほぼほぼ失敗します。
なぜ失敗すると言えるのか、理由があります。それは、「習慣化」をする上で大事なことを見落としているからです。
ところで、皆さんは先に例として挙げたような「習慣化目標」を立てる際、どんなことを意識しているでしょうか?
「正しい」ことを「意志」をもって遂行する。
漠然と、こんなイメージがあるのではないでしょうか。
正直辛いけど、合格するためには頑張らなきゃ。説明会や面談で言われたことを行動に移さなきゃ。受験生として理想的な、正しいことをやらなきゃ。ここで苦労した分だけ後で成果がでるはず!
受験生の鏡ですね。まさに理想的な模範生徒といったところでしょうか。
しかし、ここには「習慣化」に取り組むうえで犯してはならない大きな誤解が2つあります。
×「正しい」
×「意志」
この2つの誤解を犯してしまうと、折角作った「習慣化目標」はあっけなく失敗してしまいます。
逆にこれまで立てた目標をおおよそ達成できている方々は、無意識のうちに誤解を避け、習慣化の本質を抑えられているのかもしれません。
ではなぜこの2つが誤解なのか。それは人間の脳の性質に目を向けると分かります。
脳の性質とは。
ずばり、人間の脳は「欲望まみれ」です。「快楽」を求め「楽」な方へと流れていくものです。
脳は本能的に「苦手」で「嫌い」なものを避け、「楽」なものを好むように設計されています。これは生物として当たり前の性質でもあります。
通学中に単語帳を開くのは面倒でも、スマホゲームならゼロ・ハードルでできますよね。ダイエットで食事制限をするのはつらいけど、甘いお菓子ならいくらでも食べられますよね。つまらない先生の授業を受けるのは苦痛でも、面白い友達とお喋りするのは楽しいですよね。
仮にスマホゲームと甘いお菓子と友達とのお喋りを習慣化してください、と言われたらさすがにできそうな気がしますよね?
いくら「正しい」ことだと分かっていても、どれだけ「強い意志」があったとしても、本能的に「快楽」を求める脳の性質には抗えないのです。その「強い意志」もいずれは消えてしまいます。
いやいや、自分ならできるから大丈夫です!!って思う人も潔く諦めましょう。「習慣化目標」が達成できない原因はここにあります。
ではどうすれば良いのでしょうか。
答えは簡単。「欲望まみれ」な脳の性質を上手に使ってあげればよいのです。ポイントはたったの2つ。
①「正しい」を「楽しい」に。
②「意志」を「仕組み」に。
この2点を抑えるだけで習慣化の成功率はグッと高まります。以下、新しい習慣をつくる際の手順を4ステップで説明します。
Step.1
まずは脳の気持ちになって、「習慣化目標」ともう一度向き合って、その目標の中になにか「本能的に楽しい」と思える要素を見つけてみましょう。そしてその「楽しい」要素を言語化します。
例えば、目標を「毎朝5時に起きる!」に設定したとします。このままでは朝が苦手な多くの人にとってはただの苦痛でしかありません。そこでこの目標に関連する「楽しい」要素を探します。仮に友達とzoomつなげて勉強をするなら、その相手の存在が「楽しい」要素に当たるでしょう。余裕のある時間でコーヒーを一杯飲むなら、それも「楽しい」要素になるでしょう。家族が起きる前ならこっそり甘いものを食べてもいいなら、それも「楽しい(+スリリング)」要素に当たるでしょう。もともとの予定に「楽しい」要素がないのなら、何かしら作ってあげればいいのです。逆にその目標に「楽しい」要素がひとかけらもないのなら、脳みそが苦痛に耐えかねて三日坊主で終わってしまうでしょう。
Step.2
次に、設定した目標を細分化します。最低ラインを決めるのでもよいでしょう。そして新しい習慣をはじめるときは、まずは一番小さな一歩を踏み出すようにします。何でもいいから目標を一つ達成したという「快楽」を脳みそに与えることがポイントです。脳みそが「楽しい」と認識するようになれば、この習慣は自然と定着してくるでしょう。その後徐々にステップアップすればよいのです。
試しに「毎朝5時に起きる!」という目標を3つに細分化してみます。①5時にアラーム音を認識する&止める。②布団から出て起立する。③灯りをともして席に着く。ひとまず「起きる」ことに関してはこんなところでしょうか。③の後は歯を磨くでもストレッチをするでもコーヒーを飲むでも音読するでも、やりたいことに取り組んでください。そしてこの新たな習慣をスタートする初日は、①だけで達成すれば十分合格です。
え、そんなことでいいの?いつまでたっても先に進まないんじゃないの?
と思うかもしれませんが、これでいいのです。なるべく脳みそが「苦痛」を感じないように、「楽しい」と思えるように、最初はじっくり丁寧に進めるのが最も重要なのです。逆に少しでも「苦痛」を感じていて「頑張っている感」があるのなら、それは習慣化失敗への歩みを進めている証なのです。
Step.3
そして今度は、設定した目標を実行する時間や場所を固定化します。いつしようかな、どこでしようかな、なんていう余計なことで脳を使う必要がないようにするのです。
「毎朝5時に起きる!」という目標なら、すでにある程度の固定化がなされているかもしれません。なのでこの場合なら先のStep.2の③以降に取り組むことを何か一つ決めて固定化してあげるのがよいでしょう。
他には、例えば「毎日単語30個を覚える!」という目標なら、「毎晩23時から10分だけ」「家のソファで横になりながら」といった具合に決めてみたらよいでしょう。プログラムされたロボットになるつもりで、半自動的に体が動くように「仕組み」を作るのです。
Step.4
最後に、他者を巻き込みましょう。これは他者を道連れにするという意味ではなく、自分のために他者の存在を利用するということです。長期的に習慣を継続するための仕組みづくりの一環です。
「毎朝5時に起きる!」という目標なら、Step.1でも取り上げましたが、友達とzoomをするのはおススメです。寝坊すれば相手を待たせることになる、というのは良い意味でプレッシャーになります。友達を巻き込むことで、新しい習慣はより軌道に乗りやすくなるでしょう。
「毎日単語30個を覚える!」という目標なら、週に一回、担任助手に口頭でテストしてもらうのはどうでしょうか。生徒の皆さんは少なくとも週に1回TMで担任助手と顔を合わせることになるわけですから、積極的に担任助手という他者の存在を活用しましょう。テストを依頼したのに全く単語を覚えていなかったら、なんだか申し訳ない気持ちになりますよね。そうはならないように、きっとTMまでに単語を覚えようとするはずです。
さて、話が長くなってしまいました。
最後にもう一度、新たに習慣をつくる上で大事なことをまとめます。
①「正しい」を「楽しい」に。
②「意志」を「仕組み」に。
この夏、何か新しい習慣に挑戦しよう!と意気込んでいる皆さん。その心意気はとても素晴らしいです。
その思いを絶やさないように、この記事で紹介したポイントを取り入れて実践してみてください。
もし、
「つらいけど頑張ろう」
と思っているのだとしたら、黄色信号です。習慣化において「がんばる」必要はありません。「たのしく」取り組むことが、習慣化を成功させるカギとなります。
『「がんばらない・たのしい」夏休み』
ぜひ有意義なものにしてください!
暑い日が続きますが、くれぐれも体調にはお気を付けください。こればっかりは仕方ありません。がんばりましょう。
「習慣化」についてもっと知りたいよ!と思った人は、『習慣が10割』(著:吉井 雅之 )というベストセラー本を読んでみてください。詳しく説明がされています。