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2021年 4月 13日 進路で迷っているのなら
医学部の学生は5年生になると臨床実習を始めます。
様々な診療科を見学し、卒業後の進路決めの参考にするためです。
みなさんが大学病院にかかった際に、医師の後ろに金魚のフンみたいにくっついてるのをみたら、それはだいたい実習中の医学生です。
指導医の先生が患者さんと話している時や、先生達が集まって会議しているときは、真剣(?)な顔をしてメモを取っているのですが、先生と二人っきりの時間までもそうかと言われるとそうでもありません。
意外と雑談で盛り上がっちゃったりするときもあるのです。
そのような時、絶対先生に聞かれるのが、「将来は何科に進むの?」という質問。
「産婦人科です!」とか「心臓血管外科です!」とか言えればいいのかもしれませんが、あいにく私は内科か外科かも決めかねている迷える羊ちゃんなので、「いや〜まだ決めてなくて、、」と濁すしかありません。
実習でそれぞれの診療科を見学すると、どの科も魅力的に思えてしまって、なかなか興味を絞れないのです。
そして専門の診療科を決めるというのは、基本的に一生その分野で飯を食うということですから、そんな大事な決断を先生方はどうやって決めたのか甚だ不思議でなりません。
そこで私は必ず、「先生はなぜこの診療科を選んだのですか?」と質問を返すことにしています。
これまで結構な人数にこの質問をしてきて、様々な回答を得ました。
立派な理由、ユニークな理由、色々ありました。
一つ分かったのは、最初から進路を決めてその通りに進んだ人や、たった一つの理由で進路を決めた人は意外と少なかったことです。
多くの先生が、紆余曲折して気づいたら自然とその専門を選んでいたそうです。
学生時代には絶対に行かないと決めつけていた診療科に、なんだかんだでなっちゃった人も少なくないのです。
紆余曲折の過程には、
偶然手に取った参考書に夢中になってしまったり、
たまたま尊敬できる師匠に出会ったり、
患者さんにかけられた、たった一言の言葉だったり
いくつものご縁が散らばっていたそうです。
そしてそれらが結ばれて、次第に進路ができてくるのだと言います。
打算的に自分の進路を考えるよりも、いま目の前にあることに一生懸命に向き合うことが大切なのだと
後から振り返ってみた時に、その時々で夢中だったことの一つ一つがご縁となり、現在の仕事をしている理由になっているものだと
そう話してくださった先生がいました。
その先生からしてみれば、学生は必死で勉強しなさいと暗喩したつもりなのかもしれませんが、私はこの言葉にひどく感心し、いま目の前にあること(例えば担任助手の仕事)に一生懸命向き合おうと心に決めました。
ごめんなさい先生、勉強もちゃんとしてます。
そういえば私が医学部を志したきっかけも、夢中で生物を勉強した経験からです。
高校の生物の授業である日習った免疫の仕組みに感動し、免疫学に関する本を読み漁りました。あの頃から、生物・医学系のテレビや漫画を読むことが多くなったな。
振り返れば確かに、当時夢中になっていたことたちが結ばれて、大学で医学を学んでいる現在につながります。あの時の生物の授業や読んだ本たち一つ一つが大切なご縁でした。
数年後また振り返ったら、いま夢中になっていることが、その仕事を選んだ理由になっているのかな。
その繰り返しなのかな。
そう考えると
進路のことで悶々としていた気分に
ちょっと晴れ間がさして
まずは目の前のことを大切に
一所懸命、取り組もうと思うのです。
担任助手5年 青島健人